怪物の中で

前回我々は怪物の生態を調査するために決死覚悟で怪物と対峙した。

結局あっけなく丸呑みにされ、怪物の胃の中で戦々恐々、命が尽きるのを待った…

しかしどうしたことだろう。我々の身体は五体満足、一切のケガもしていなかった。

これはどういうことだ…??
顔を見合わせる取材班。

落ち着いて周りを見渡すと、他にも怪物に食われてしまった人々がいた。
その人達は何をするでもなく、透明な怪物のわき腹を通して外界を見ていた。

どうやら人々は食われたもののまだ死んでいないことが上手く理解できず、パニックを起こし、ついに精神を壊してしまったのだ…!!

しばらくすると放心した人々は怪物が休憩した隙にフラフラと怪物の肛門から外界へと去っていった…

怪物は人間をもてあそんで楽しんでいるのだろうか…??

そんなことを考察しながらふと相棒のS倉特派員の方を見やると、彼は自身の顛末などそっちのけ、ひたすら地元住民の生態を観察していた…!!

彼ほどジャーナリズム精神を貫く人がこれまでいたであろうか…!!

私は感涙し、とりあえずズボンはおろすなよ。と心の中で祈った。

name
email
url
comment